黄金色の稲穂は純白のお米へ。収穫とお米の特徴、放射性物質の検査について。
この記事では以下の内容をご紹介させていただきます。
・品種別のお米の特徴
・福島県が取り組むお米の放射性物質の検査の体制
・佐藤さんのお米の検査結果
・全国各地で行われている食品の放射性物質検査の結果
・精米のポイント
10月も中旬に差し掛かり、稲刈りや刈った稲を干している風景を県内外のあちらこちらで見かけるようになりました。秋は新米の季節、艶やかな白いご飯が食卓を彩る季節です。以前、相馬市今田の米農家・佐藤徹広さんのお米が収穫間際とお伝えしましたが、佐藤さんのお米も収穫まっただ中で、順次出荷が始まっています。
有難いことに、受付開始前からご注文を数件いただいております。佐藤さんご本人は、本当に(ウェブから)注文が来るんだね、とおっしゃっていました(笑)。ご注文いただきました方にはこの場を借りて御礼申し上げます。
佐藤さんの詳しいお話はこちら↓
【佐藤徹広】次世代に経験を残したい――。国際大会で金賞を受賞した農家の米作りにかける想い
特徴に違うものの、それぞれ美味しい
佐藤さんが育てているお米は、コシヒカリ、ヒトメボレ、そして福島県が開発した新品種・天のつぶの3種類。お米の王道はやはりコシヒカリで、佐藤さんが昨年度の国際大会で金賞を受賞したのもこの品種です。ですが、それぞれ特徴があり、どれも総じて美味しいのです。
ここで福島県が制作した天のつぶのパンフレットに掲載されている食味官能試験結果をご紹介いたします。
こちらを見ると、コシヒカリはバランスの取れた万能タイプであるのに対し、ひとめぼれは粘り気があり柔らかいのが特徴だと分かります。この図には記載されていませんが、粒が大きいことでも知られています。一方で天のつぶはヒトメボレ同様に粒が大きいのですが、「硬さ」の値がコシヒカリ、ひとめぼれより高く、しっかりとした食感を楽しめるのがポイント。佐藤さんは「食感がしっかりしているからおにぎりとか手巻きがおすすめ」と言っていました。
さて、収穫された稲穂は機械で乾燥をさせた後、玄米となります。使う機械がこちら。
背丈よりだいぶ高い機械に脱穀したモミを入れ、お米を循環させながら温風で乾燥させます。そして玄米にした後、放射性物質の検査を行ったうえで、安全が確認できたもののみを出荷しております。
全量全袋検査と佐藤さんのお米の検査結果
福島県では、収穫された米を出荷する前に、放射性物質の全量全袋検査に取り組んでいます。検査の方法はスクリーニング検査で、玄米の状態で行われます。検査の結果、食品衛生法が定める基準値である100Bq/kgを少しでも超える可能性があったと判断された場合は詳細結果を行い、基準値を超えたものは流通させないように徹底しています。
検査済みの米にはそれを示すシールが貼られるのですが、このシールのQRコードを読みとるか、以下のウェブサイトに識別番号を入力することで、検査結果を確認することができます。
・放射性物質検査情報:https://fukumegu.org/ok/kome/
・検査済みの米にはこのようなシールが貼られます。
以前に別の記事でも書きましたが、福島県全域では昨年度(平成25年度)、99.99 %のお米が基準値未満であり、99.93 %が測定下限値未満(25Bq/kg)でした。
佐藤さんのお米も昨年度はすべて測定下限値未満、つまり不検出でした。今年度収穫されたお米も順次検査を行っていますが、先日、30点ほど検査をした結果をお聞きしたところ、すべて基準値未満。なお、佐藤さんが検査を行った測定所では細かな値も出たようで、平均値は1.8Bq/kgとのことでした。これは飲料水の基準値である10Bq/kgよりも低い値です。
皆さんの中には「他県はどうなの?」という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。各地の放射性物質の検査結果をデータベースとして公開しているウェブサイトがありますので参考までにご案内いたします。
・みんなのデータサイト:http://www.minnanods.net/
こちらは名古屋の「未来につなげる東海ネット・市民放射能測定センター(C−ラボ)」、東京の「こどもみらい測定所」、「高木仁三郎市民科学基金(高木基金)」などの組織により運営されているウェブサイトです。
以下に、ウェブサイトの紹介文を引用いたします。
“全国の市民放射能測定室(所)で長期間にわたり積み上げられたデータを、統一形式で登録し、誰にでも分かりやすく手軽に検索表示ができるよう努めている、インターネット上のデータベースです。”
以下から、お米を含む、各地で行われた穀類の検査結果を知ることができます。
http://www.minnanods.net/mrdatafoodcat/food_%E7%A9%80%E9%A1%9E.html
さて、話は佐藤さんのお米に戻りますが、美味しいのはもちろんのこと、当然ですが安全なもののみを出荷していますので安心してお召し上がりいただければと思います。
お米は食べる前に精米!
先日佐藤さんに教えていただいたのですが、玄米は精米すると日が経つにつれて風味が損なわれるのだそうです。ご存じの方も多いかもしれませんが、取材スタッフは恥ずかしながら知りませんでした……。
相馬本家では30kg玄米もお取扱いしております。ご注文される方は、何回かに分けて精米すると、常に風味豊かな新米の味を楽しんでいただけるかと思います。
一方、2kgのパッケージもご用意していますので、こちらは「ちょっと試してみようかな」という方にオススメです。それぞれ食べ比べして、お気に入りを見つけてみるのも面白いかもしれません。
・コシヒカリと天のつぶのパッケージ。写真は1kgですが、2kgも同様のパッケージとなります。
日本人の食卓にお米は欠かせません。国際大会において機械とお米のソムリエの両方が美味しいと認めた佐藤さんの新米を、ぜひお試しください。