【船橋屋製菓】はじまりは式菓子――。明治21年から続く、相馬市民おなじみの製菓店
2014.06.26 カテゴリ:ブログ
相馬市で船橋屋製菓を知らない人間はモグリ……とまでは言いませんが(笑)、「船橋屋製菓」は、それほど相馬市民に馴染みのある製菓店です。創業は明治21年(1888年)。船橋屋製菓の上生菓子は、平成11年、天皇皇后陛下もお召し上がりになったこともあり、市街地に建つ蔵造り風の本店からは風格がうかがえます。
・相馬の市街地に建つ本店
とはいえ、敷居が高いというわけではなく、どのお菓子を見ても価格はリーズナブル。また、職人の技が光る上生菓子や素材にこだわった羊かんといった本格的な和菓子を作っている一方で、お子さんや女性が喜びそうな可愛らしいプチケーキなども販売していて、老若男女、幅広い方に親しまれています。
・明るく広々とした店内
今回は、100年を超える年月に渡り、相馬でお菓子屋さんを続けてきた船橋屋製菓の、創業時のお話や、名物「カステラせんべい」のお話を、代表取締役の羽根田万通さんにうかがいました。
“当時は珍しい式菓子を始めたお店”
・代表取締役の羽根田万通さん
羽根田さん:創業当時、お祝い事でお出しする式菓子を出していたようで、それが広く受け入れられました。というのも、相馬は二宮尊徳の報徳仕法を実践していた土地で、質素倹約の考えが根付いていました。だから、例えば祝儀の際に豪華な紅白の菓子を出すなんて文化がなかった。そこに(当時の船橋屋の人が)そういうお菓子の文化や作り方を(相馬の)外から持ってきたものだから、当時は驚かれたようです。
船橋屋製菓は、現在、相馬市内に3店舗、宮城県亘理町(わたりちょう)に1店舗の計4店舗を構えるほか、相馬市に自社工場を持っており、多くの人が働いています。
羽根田さん:船橋屋製菓では、現在約60名の方が働いています。相馬市は現在人口約35,000人ですから、その中では大きな企業です。実は、この“大所帯”という特徴は昔からあったもので、当時も多くの従業員を抱えていたようですね。式菓子を作ることができた菓子屋が、当時はほかになかったということも理由にあると思います。大所帯だからこそ、苦労も大きかったと思います。戦時中(第二次世界大戦)、砂糖や小麦粉や贅沢品とされ、配給制になったでしょう。あの時は特に大変だったと思います。
“大正皇后陛下も召し上がったカステラせんべい”
船橋屋製菓を代表するお菓子のひとつに「カステラせんべい(相馬せんべい)」があります。名前の通り、カステラのような味の洋風おせんべいですが、甘さはカステラよりも控えめで、卵の優しい味わいが際立ちます。しっとり、もっちりとした弾力ある生地も特徴的。大きさは大人の手のひらより大きく、とても食べごたえがあります。
羽根田さん:カステラせんべいは、明治の時代からずっとお出ししているお菓子。大正時代には、皇后陛下にもお買い上げいただきました。
“若い人にも、ご年配にも、おなじみのお菓子たち”
さて、カステラせんべいのほかにも、船橋屋製菓には、“おなじみ”のお菓子があります。そのひとつが「お星さまケーキ」。相馬で「ケーキと言えば?」と聞くと、多くの人からこの名前が挙がります。
相馬の人たちに「どんなケーキ? どこが好き?」と聞いてみると、「生クリームがたっぷり」「ふわふわで美味しい」「土台のチョコレートが好き」「誕生日に必ず食べる」と、さまざまな声が返ってきて、まさに「相馬の定番」という印象を受けます。
残念ながら、相馬本家ではお星さまケーキは扱っていないのですが……、相馬に来られた際は、ぜひお買い求めください。
現在、相馬本家では「カステラせんべい(相馬せんべい)」のほか、バターをたっぷり使った焼きドーナツや、風味豊かな「青のりようかん、柚子ようかん 詰合せ」、和洋の「銘菓の詰合せ」をお取扱いしています。
長きに渡り、相馬市民に親しまれ続けている「相馬の定番」を、ぜひお試しください。
・本店にはレトロな喫茶スペースも
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相馬せんべい